家族信託の信託契約書には何を書く? 基本の構成や必ず記載すべき内容を解説
2026/07/14
家族信託を進める際、「信託契約書には具体的に何を記載すべきか」と疑問に感じたことはありませんか?
大阪市でも広がっている家族信託ですが、失敗しないためには信託契約書の内容が非常に重要です。契約書の作成ひとつで家族間のトラブルや思わぬリスクを防ぐことができ、費用面でも後悔しない選択が可能となります。
本記事では、家族信託の信託契約書に欠かせない記載事項の解説に加え、契約書作成時の落とし穴の回避方法まで徹底的に解説します。
目次
そもそも家族信託とは?
● 家族信託とは
家族信託(民事信託)は、高齢化が進む現代社会において、ご家族の財産管理や相続対策として注目されている制度です。大阪市でも、親の判断力低下や認知症リスクに備え、早めに家族信託を検討する方が増えています。
家族信託は、信頼できる家族が受託者となり、本人(委託者兼受益者)の意向に沿って、本人の財産を管理・運用・処分できる仕組みです。受託者はあくまで財産を預かるだけであり、財産から発生する利益は引き続き本人が受け続ける点が大きな特徴となっています。
安心して家族信託を始めるためには、まず制度の基本を理解し、どのようなケースで活用できるのかを整理することが重要です。たとえば、将来的に親が認知症を発症した場合にも、家族信託を利用すれば預貯金や不動産の管理、処分などがスムーズに行えます。ご自身のケースで活用できるのか、専門家と相談しながら具体的に検討を進めましょう。
● 家族信託の仕組み
家族信託では、委託者・受託者・受益者という3つの役割が登場します。
委託者は財産を託す人、受託者は信託財産を管理・運用する人、受益者は信託財産から利益を受ける人です。多くの場合、委託者と受益者は同一人物(親)、受託者は他の人(家族などの信頼できる人)が務めます。
この仕組みの最大の特徴は、財産の名義が受託者に移るものの、実質的な利益は受益者が受け取る点です。たとえば、不動産の名義を子(受託者)に変更しても、売却や賃貸により生じた利益は親(受益者)が受け取れるため、親の意向を尊重した財産管理が可能です。なお、この「名義」というのは、受託者が完全な所有者になるというわけではなく、あくまで「受託者」が管理者としての所有権を有していることを示すための名義変更です。
● 家族信託の最初のステップ
家族信託の手続きとしては、まず信託の目的を整理し、次に信託内容の設計、信託契約書の作成、財産の名義変更、そして受託者による財産管理が始まるという流れが一般的です。
このような流れの序盤に訪れる「信託内容の設計」では、どの財産をどのような目的で預けたいか、受託者にどのような権限を与えるか、どのような条件で信託が終わることにするか(通常、委託者兼受益者の死亡によって終了することが多いです。)、信託終了後に残った財産は誰に渡すかといったことを考えながら、信託契約の内容を具体化していきます。
設計の段階では、後々のトラブル防止のために、親族間の合意形成も重視したいところです。というのも、家族信託は、「財産を特定の人が預かる」という性質上、運用を誤ると親族間の争いにつながりやすい制度でもあります。大阪市内で家族信託を進める場合、信託契約書の内容や名義変更手続きに関して、専門家のサポートを受けることで失敗や誤解を防ぎやすくなります。
● 特に注意するポイント
家族信託を進める際、契約書の内容や財産の名義変更には細心の注意が必要です。
信託契約書には、将来のトラブルを防ぐため、委託者・受託者・受益者の権利義務を明確に記載しなければなりません。特に、不動産の信託では登記手続きが必要となるため、記載ミスや必要書類の不備がないよう専門家に確認してもらうことが大切です。
名義変更は、受託者が信託財産を自己の財産と区別して管理するための分別管理義務にも関わる重要な手続きです。名義変更をすることで、第三者が見ても信託されていることが明らかとなり、万が一にも受託者が自己破産するようなことがあっても信託財産は保護されます。
また、家族信託を利用すると、財産の管理権限が受託者に移るため、信頼できる家族を選ぶことが不可欠です。
● 家族信託の相談先
家族信託は、仕組みや手続きが複雑なため、専門家への相談が不可欠といってもよいでしょう。大阪市内には家族信託を取り扱っている弁護士や司法書士といった専門家が多く在籍しています。また、税務上の心配もあるような場合には、税理士にも相談することをおすすめします。
実際に相談する際は、実績や相談体制、料金体系を事前に確認し、ご家族の希望や状況に合った専門家を選ぶことが重要です。専門家との対話を重ねることで、家族信託のメリット・デメリットを正確に理解し、ご家族全員が納得したうえで準備を進めることができます。
家族信託における信託契約書の役割
● 信託契約書は家族信託の「基本」
家族信託は、「親の認知症による資産の凍結回避」「介護費用の確保」「不動産の売却や有効活用」といった目的で活用されます。特に大阪市のような都市部では、不動産価格が高額になりやすく、実家の売却や賃貸管理が必要となるケースが増えています。
たとえば、親が施設入所を検討している家庭では、入所資金を実家の売却で捻出したい場合があります。しかし、名義人が認知症で判断能力を失うと、売却手続きができなくなり、家族の生活設計に大きな影響が出ます。家族信託があれば、事前に信頼できる家族が管理者となり、資産の売却や運用をスムーズに進められます。また、生活資金の確保や将来の相続対策としても、家族信託による柔軟な管理が有効に活用できます。
そしてこの家族信託は、委託者と受託者の間で信託契約を結ぶことによって始まります。このような性質から、家族信託において、信託契約の内容を記録した信託契約書は、家族信託の基本ともいえる重要な役割を果たすのです。
信託契約書には、信託の目的、対象となる財産、受託者の権限や義務、信託の終了条件など、家族信託に関するあらゆる取り決めが記載されます。資産管理という重要な局面において信託契約書がどのように作成され、利用されるのか、以下にその詳細をまとめます。
● 作成はできるだけ公正証書で
信託契約書は法律上どのような形式で作成しても構いませんが、一般的には公正証書で作成することが推奨されます。
公正証書とは、個人間の法律に関する文書(契約書、遺言書、委任状など)に公文書としての証明力をもたせたものです。公正証書化される代表的なものとしては、遺言書、離婚協議書、事実婚契約書、金銭消費貸借契約書などが挙げられます。公正証書化することにより、後日の争いを未然に防ぐことができるため、私人間契約のリスクを大幅に軽減できます。
この公正証書は、公証役場にて、法律の専門家である公証人が作成します。
公証役場を利用する際には、事前予約が必要であるという点と手数料が発生する点、そして公証人による法律相談は原則として行われていない点に注意してください。公証人への事前相談も可能ではありますが、公証人はあくまで利用者の希望に従って書類を作るのであり、「その書類を作成する必要があるか」「この内容で想定外のトラブルや税金の負担が生じないか」といったアドバイスは、原則として行いません。こういったアドバイスを受けたい場合には、司法書士や弁護士、税理士といった専門家に相談しましょう。
● 外部に提出することも
信託契約書作成の際に注意したいこととして、信託契約書は、金融機関や法務局、不動産業者、税務署といった外部機関に提出することもあります。
たとえば、信託口口座を作成する際には銀行などの金融機関に、不動産を信託する際には法務局に提出し、「信託契約が本当に存在すること」「信託契約の当事者は誰か」「信託契約の内容」といった重要な事項を証明します。このとき、一部の金融機関などでは公正証書による信託契約書しか受け付けていないこともあります。また、信託契約書の作成前に提出先機関による事前審査を求められることもあるため、信託契約書の作成にあたってはスケジュール管理も大切です。
● 万が一のときの保険に
信託契約書は、万が一のときの保険としても機能します。
たとえば、委託者が亡くなった後に、他の相続人や親族から「財産管理と嘘をついてお金を勝手に使っていたのではないか」「本当に委託者(被相続人)が財産を預けるなんて言ったのか」と、受託者が疑われてしまうような場面があります。また、信託契約書には信託契約終了後にその財産を誰に引き継ぐかといった遺言のような内容も記載することができるため、遺産の分け方で揉める可能性もあるでしょう。
このような場合に、公正証書で作られた信託契約書があれば、信託契約の存在・当事者の意思の存在を示す重要な根拠となります。信託契約書は、万が一のときの保険としての機能も果たすのです。
信託契約書には何が書いてある?
● 信託契約書の基本的な記載事項
それでは、信託契約書に何を記載するのかを具体的に紹介します。
信託契約書の基本的な記載事項は以下のとおりです。
- 契約の趣旨:契約がどのような内容か
- 契約の目的:契約の目的(老後の資産管理、負担軽減、円滑な資産承継など)
- 契約の当事者:委託者、受益者、受託者の住所、氏名
- 信託財産の特定事項:どの財産(不動産、金銭、有価証券など)を信託するか
- 受託者の権限と義務:受託者がどのように財産を管理・運用・処分等するか/禁止事項等
- 信託の期間(終了事由):信託がどこまで続くか
- 残余財産の帰属先:信託終了時、残った信託財産は誰がどのように引き継ぐか
これらをまとめると、信託契約書の基本的な記載事項は、大きく分けて以下の3つのとおりだといえるでしょう。
- 信託の特定のための事項(趣旨・目的、当事者、信託財産)
- 受託者に関する事項(受託者の権限と義務、信託財産の管理方法)
- 信託の終了に関する事項(終了事由、帰属権利者)
これら3つについて、詳しく解説していきます。
● 基本要素その1:信託の特定のための事項(趣旨・目的、当事者、信託財産)
まず、その信託がどのようなもので、何を目的にするのか、誰と誰の間の契約なのか、対象となる財産は何かといった、信託を特定するために必要な要素を記載します。
信託の趣旨:契約書における「趣旨」とは、その契約書の概要をまとめた条文です。たとえば売買契約では、「売主と買主は、売主は後記記載の動産を買主に対して売却し、買主はこれを買い受けることを約し、本件売買契約を締結する」などと記載します。
信託の目的:何のためにこの信託を設定するのかを記載します(例:委託者の生活支援と円滑な資産承継のため、委託者の財産管理の負担を軽減するためなど)。目的は、受託者が権限を行使する際の判断基準にもなる重要な部分です。
当事者:委託者・受託者・受益者それぞれの氏名・住所を明記します(家族信託では通常、委託者と受益者は同一人物となります)。
信託財産:信託の対象となる財産を、他の財産と区別できる形で特定します。不動産であれば所在・地番・家屋番号などの登記事項、金銭であれば金額を明記するのが一般的です。
信託財産の特定は、意外と見落とされやすいポイントです。「委託者の財産全部」といった曖昧な書き方では、後になってどの財産が信託財産に含まれるのか判然としなくなってしまいます。不動産であれば登記事項証明書の記載どおりに正確に記載して、金銭であれば当初信託する金額を明確に記載して、その対象を特定しましょう。
なお、後から追加で委託者の財産を信託財産に加える可能性がある場合には、追加信託に関する事項(追加信託ができる旨、追加信託の方法など)もあらかじめ定めておくと安心です。
● 基本要素その2:受託者に関する事項(受託者の権限と義務、信託財産の管理方法)
信託財産をどのように取り扱ってよいのか、受託者の立場についても具体的に定めておく必要があります。
受託者の権限:信託財産の管理・保存行為だけでなく、売却や賃貸、建替え、借入れなど、処分にあたる行為まで認めるのかどうかを具体的に定めます。たとえば、将来的に実家を売却して施設入居費用に充てる可能性があるなら、あらかじめ「信託不動産を売却する権限」を明記しておかなければ、いざそのときになって受託者が売却できない、という事態にもなりかねません。権限の範囲が曖昧だと、いざというときに受託者が動けなくなったり、逆に委託者が想定していない行為をされてしまったりするおそれがあるのです。
受託者の義務:信託法上、受託者には善管注意義務、忠実義務、信託財産を受託者自身の財産と分けて管理する分別管理義務、帳簿作成や受益者への報告義務などが課されます。契約書でこれらを具体的に確認しておくことで、受託者自身も自分の役割を理解しやすくなります。
信託財産の管理方法:金銭であれば信託専用の口座(信託口口座や信託専用口座)で管理することを明記するのが一般的です。不動産であれば、管理・修繕の方針や、賃貸に出す場合の取り扱いなどを定めておくことをおすすめします。
● 基本要素その3:信託の終了に関する事項(終了事由、帰属権利者)
信託は永続的に続くものではなく、いずれ終了します。その終了のタイミングと、終了後に財産をどうするかも、あらかじめ定めておく必要があります。
終了事由:委託者兼受益者の死亡、信託目的の達成、あらかじめ定めた信託期間の満了など、どのような場合に信託を終了させるかを定めます。一般的に家族信託は委託者兼受益者の死亡によって終了することが多いですが、受託者の不在や当事者間の合意など、他の事由で終了することもあるため、その可能性を見据えて設計しましょう。
帰属権利者:信託が終了した際、残っている信託財産を最終的に誰が取得するのかを定めます。この定めがないと、法律上のデフォルトルールに従って処理されることになり、必ずしも委託者の意図どおりの結果にならない可能性があります。たとえば、複数の子がいるケースで、実家は長男に、預貯金は長女にというように、財産ごとに異なる帰属権利者を指定することも可能です。誰にどの財産を残したいのかという意向がある場合には、この部分を丁寧に定めておくことが重要です。
● 基本要素が欠けていると契約が無効になることも
信託の目的や信託財産の特定が不十分であったり、そもそも誰が受託者になるのかが定まっていなかったりすると、信託そのものが法律上有効に成立しないおそれがあります。また、記載自体はあっても内容が曖昧なために、受託者が実際に行動する場面で権限の範囲を巡って家族間の意見が対立してしまう、というケースも少なくありません。
信託契約書は「作ればよい」というものではなく、内容の精度が、その後の信託の運用を大きく左右します。
認知症対策の信託契約書に書くべきこと
● 信託契約は長年続くことを前提に
家族信託が認知症対策として利用される場合、信託契約は委託者の判断能力が低下した後も長期間にわたって継続することが前提になります。委託者が元気なうちに結んだ契約が、その後10年、20年と機能し続けなければならない、という点は、通常の契約とは大きく異なる特徴です。
そのため、信託契約は、契約締結時の状況だけでなく、将来起こり得るさまざまな変化を見据えた内容にしておく必要があります。
● 予備的受託者の指定
家族信託では、当初の受託者が、委託者よりも先に死亡したり、病気や高齢化により受託者としての役割を果たせなくなったりする可能性もあります。
こうした事態に備えて、あらかじめ次の受託者(予備的受託者)を信託契約書の中で指定しておくことが望ましいです。
予備的受託者の定めがないまま受託者が不在になってしまうと、信託契約が思わぬタイミングで終了したり、信託財産の管理が滞ったりといった事態になりかねません。安定した運用のためにも、予備的受託者となる人の候補がいる場合には、積極的に予備的受託者を定めておくことをおすすめします。
● 受益者連続型信託の検討
家族信託では、当初の受益者が死亡した後、次に誰が受益権を承継するかをあらかじめ定めておく「受益者連続型信託」を活用することもできます。たとえば、親の死亡後は配偶者を、配偶者の死亡後は子を、というように受益権の承継先を段階的に指定することで、遺言のような資産承継の機能を持たせることが可能です。通常の遺言では、自分の次の承継先までしか指定できませんが、受益者連続型信託を使えば、その先の承継先まであらかじめ決めておける点が大きな特徴です。
ただし、この仕組みには法律上の期間制限がある点に注意が必要です。信託がされた時から30年を経過した後は、その時点までに生じた受益権の承継が新たに発生するのは一度限りとされており、それ以降の代替わりまで永続的に受益権を指定し続けることはできません。長期にわたる資産承継を検討する場合は、この制限を踏まえたうえでの設計が必要になるため、専門家と十分に相談することをおすすめします。
● 柔軟さも重要
長期間にわたって信託を運用していく以上、契約締結時には想定していなかった事情の変化が生じることも十分にあり得ます。家族構成の変化、信託財産の状況の変化、受託者や受益者の状況の変化などに対応できるよう、信託の変更に関する条項をあらかじめ設けておく、受託者にある程度の裁量を持たせておくなど、硬直的になりすぎない設計にしておくことも大切なポイントです。
たとえば、当初は自宅の維持管理だけを想定していたとしても、数年後に施設入居のための資金確保が必要になり、自宅の売却を検討する場面が出てくるかもしれません。契約締結時にすべての将来を正確に予測することは不可能ですから、「委託者兼受益者の生活や療養看護に必要な場合には、受託者の判断で信託不動産を売却できる」といった形で、目的に沿った範囲での裁量を受託者に持たせておく設計も有効です。
一方で、権限を広げすぎると受託者による濫用のリスクも高まるため、どこまで柔軟性を持たせるかは、家族の信頼関係や財産の内容を踏まえて慎重に検討する必要があります。
家族の安心のために
● 始める前に「なぜ家族信託をするのか」を明確に
家族信託は、あくまで目的を実現するための手段の一つです。認知症対策なのか、特定の家族への資産承継なのか、実家の空き家対策なのかによって、信託財産の範囲や受託者の権限、信託の終了条件など、契約書に盛り込むべき内容は変わってきます。
目的が曖昧なまま契約書の作成を進めてしまうと、いざというときに使い勝手の悪い信託になってしまうおそれがあります。家族信託の利用前には、「何のために家族信託を利用したいのか」「成年後見や生前贈与といった他の手段とどう違うのか」「自分のケースで家族信託が向いているか否か」といった前提事項を考えることが非常に重要なのです。
● 信託財産の「漏れ」に注意
家族信託を設定しても、信託財産に含めなかった財産には信託の効力が及びません。たとえば預貯金の一部だけを信託財産にしていた場合、信託しなかった預貯金については、委託者本人の判断能力が低下すると、通常の方法では動かせなくなってしまいます。生活費の管理や急な出費への対応まで見据えて、どの財産を信託財産に含めるかを慎重に検討しましょう。
特に注意したいのが、信託契約後に新たに取得した財産の扱いです。たとえば、信託契約締結後に委託者が受け取った年金や、新たに得た収入などは、当然には信託財産に含まれません。こうした財産についても信託で管理したい場合には、将来取得した財産を追加信託できるような定めを設けておく必要があります。「一度契約すれば、その後に得た財産もすべて自動的に信託財産になる」という誤解は、実務でしばしば見受けられるため注意が必要です。
● できる限り家族全員に事前の説明を
信託契約は、委託者兼受益者と受託者の間で成立しますが、それ以外の家族(将来の相続人となる子どもたちや、兄弟姉妹など)にも影響が及ぶことが少なくありません。信託の存在やその内容を知らされていなかった家族が、後になって不満を抱き、家族間の紛争に発展してしまうケースも見られます。
可能な範囲で構いませんので、事前に家族全員に信託の目的や内容を説明し、理解を得ておくことが、将来のトラブル防止につながります。
● リスク回避のための専門家利用
家族信託は、信託法のみならず、民法や不動産登記法、その他税務に関する法律など、複数の分野の知識が関わる複雑な仕組みです。契約書の文言一つで、想定していた効果が得られなかったり、思わぬ税負担が生じたりすることもあります。
こうしたリスクを未然に防ぐには、司法書士や税理士など、複数の専門家と連携しながら進めることが大切です。専門家は信託契約書に記載すべき必須事項や、家族構成・財産状況に応じた最適な設計を一緒に考えてくれます。特に大阪市のような都市部では、不動産や金融資産の種類・規模、家族間の関係性なども多様になりがちで、契約書の記載内容が複雑化するおそれもあります。専門家に依頼することで、必要書類の準備や公証役場とのやり取りもスムーズに進み、安心して手続きを完了できるのが大きな利点です。
まとめ
家族信託の信託契約書は、家族間のトラブルを未然に防ぐために非常に重要な役割を果たします。家族信託を進める際には、信託契約書には「誰が委託者・受託者・受益者なのか」「どの財産を信託するのか」「信託の目的や終了条件は何か」など、基本的な事項を明確に記載することが必要です。
記載漏れや曖昧な表現があると、将来の財産管理や分配時に家族間で意見が分かれ、思わぬトラブルに発展することがあります。たとえば、受託者の権限や義務を明確にしないと、財産管理の範囲を巡る争いが発生しやすくなるでしょう。
信託契約書を作成する際は、財産ごとの管理方法や分配条件、信託の終了後の手続きまで具体的に記載しましょう。作成前に司法書士などの専門家に相談して手続きの全体像を見通すことで、家族全員が納得しやすい契約書を作ることができます。

