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保佐人とは? 役割や権限、成年後見人との違いを解説

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保佐人とは? 役割や権限、成年後見人との違いを解説

保佐人とは? 役割や権限、成年後見人との違いを解説

2026/07/17

後見制度について調べていると、「保佐人」という言葉を目にしませんか?

保佐人とは、成年後見人と同様に、判断能力が低下している方の財産管理や法律行為をサポートするための役職です。しかし、後見制度は複雑で、保佐人の権限や成年後見人との違いはわかりづらい部分でもあります。

本記事では、保佐人の役割や成年後見人との具体的な違い、権限の範囲に加え、どのような流れで選任されるのか、選任申立てをする際の流れをわかりやすく解説します。

※ 成年後見制度は、令和10年あたりに大幅な改正が予定されています。本記事はあくまで現行制度に基づいていますので、ご了承ください。

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目次

    成年後見制度の基本

    ● 成年後見制度とは

    成年後見制度は、判断能力が低下した方の財産管理や生活上の重要な契約を、後見人が本人に代わって行う仕組みです。

    認知症や知的障がい、精神障がいなどで、自分自身での契約の締結や財産の管理が難しくなった場合、家庭裁判所へ申立てをして後見人を選任してもらうことで、成年後見制度を通じた適切な支援を受けられるようになります。

    成年後見制度を利用することで、不正な財産の流出や悪質な契約から本人を守ることができる反面、後見人の選任や報酬、定期的な家庭裁判所への報告義務など、制度利用の際には注意すべき点も多く存在します。大阪市でも多くの市民が成年後見制度についての相談を寄せており、専門家の支援を受けながら活用しています。

    ● 成年後見人の役割

    成年後見制度には、大きく分けて「成年後見」「保佐」「補助」の3類型があり、本人の判断能力の低下が大きい順に、成年後見人→保佐人→補助人が選任されます。そして、この制度の利用者の多くは成年後見類型を利用しています。

    そんな成年後見人の主な権限は「財産管理権」と「身上監護権」に大別され、本人の財産管理や生活全般のサポートを行うことができます。具体的には、預貯金や現金の管理、施設入所契約の締結、病院への入院手続、保険金請求の手続き、不動産などの重要な財産の管理や処分等を行います。

    このような業務はすべて、家庭裁判所の監視下で行われます。家庭裁判所は、成年後見人の財産管理や身上監護の状況をチェックし、必要に応じて指示や権限の制限・変更を行うことがあります。また、本人と成年後見人の利益が相反する場合や、権限の逸脱が疑われる場合には、後見監督人の選任や後見人の解任などの対応を行います。家庭裁判所と成年後見人が協力して本人の意思を尊重し、本人の利益を守るようなイメージといえるでしょう。

    なお、ここにいう「本人の利益」は、たとえば「本人が当事者となる遺産分割協議において、本人の取り分が法律で定められた相続分を下回って本人が不利益を被らないよう配慮しなければならない」といった形式面での話です。たとえ本人が元気なときに「ほかの相続人に全部あげる」と口約束していたとしても、本人が意思表示をできなくなってしまった以上、裁判所や成年後見人は、本人の権利を守るため、最低限法律で定められた取り分は保護しなければならないという判断をします。

    このように、本人の利益を守るとはいっても、常に本人の意思どおりになるわけではありません。意思表示ができなくなってしまった以上、手厚い保護をしなければならないというのが成年後見制度の要点です。

    ● どのようなときに利用するか

    成年後見制度の利用を検討するのは、以下のようなタイミングです。

    • 財産管理や契約をするのが困難になったとき
    • 介護、福祉サービスの利用手続きが必要なとき
    • 現預金確保のために不動産や株式を売却する必要があるとき
    • 相続手続きや遺産分割協議をしなければならないとき

    このように、日常の財産管理や法律行為が難しくなったタイミングで、家族や周囲の介護関係者などが、成年後見制度の利用を検討します。

    本人が「契約ごとが不安だから」という理由で利用を検討することもありますが、そのような場合、家族への委任や財産管理契約等で足りることが多いです。仮に申立てをするのであれば、後見類型のなかでも行為能力の制限が小さい保佐や補助が選択されるでしょう。

    ● 利用開始までの大まかな流れ

    成年後見制度を利用するには、まず、家庭裁判所へ「後見(保佐、補助)開始の申立て」を行うことになります。

    後見・保佐・補助の違いは、判断能力の低下の程度に合わせて、低下が著しいものから順に後見→保佐→補助が選ばれ、それぞれ、成年後見人・保佐人・補助人が選任されます。このなかで、成年後見人の権限が最も大きく、補助人の権限が最も小さいです。なお、制度利用者の多くが後見類型にて利用しています。

    どの類型を利用するかは、医師の診断に基づいて判断されます。任意に決められるわけではないので注意してください。

    この申立てをすると、家庭裁判所が、後見人等(成年後見人・保佐人・補助人のいずれか)を選任し、後見制度の利用が始まります。

    注意点として、この申立ては一度すると後から任意に撤回することができないので、申立ての前に制度の概要を十分に理解し、本当に申し立てるべきかをしっかりと検討することが重要です。

    保佐人の特徴

    ● 保佐人とは

    保佐人とは、精神上の障害により、物事を判断する能力(事理弁識能力)が「著しく不十分」な状態にある方について、家庭裁判所が保佐開始の審判をすることで選任される支援者です。日常の簡単な買い物程度は自分でできても、不動産の売買や金銭の貸し借りといった重要な法律行為については、適切に判断することが難しい、という程度の状態が想定されています。

    後見が「判断能力をほとんど欠く常況」にある方を対象とするのに対し、保佐はそれよりも軽度な状態の方を対象とする点が大きな違いです。実際の運用では、日常的な意思疎通はある程度できるものの、契約書の内容を理解して自分の利益・不利益を判断することが難しい、といった中等度の認知症の方などが、保佐の対象となることが多く見られます。

    もっともこういった具体例はあくまで目安であり、判断能力の低下具合が後見相当か、保佐相当か、補助相当か、という判断は医師の診断や家庭裁判所の判断によってなされます

    ● 保佐人ができること

    保佐人の主な権限は、民法第13条第1項に掲げる以下の9つの行為に対する「同意権」と「取消権」です。

    1. 元本の領収または利用
    2. 借財または保証
    3. 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為
    4. 訴訟行為
    5. 贈与、和解または仲裁合意
    6. 相続の承認、放棄または遺産分割
    7. 贈与の申し込み拒絶、遺贈放棄、負担付贈与の申し込み承諾または負担付遺贈の承認
    8. 新築、改築、増築または大修繕
    9. 短期賃貸借を除く賃貸借

    本人がこれらの行為を行うには、保佐人の同意が必要とされ、同意を得ずに行われた行為は、後から取り消すことができます。

    保佐人の権限は基本的にこれらの行為に限られること、そして基本的に「代理権」はないということに注意してください。家庭裁判所は、申立てにより、この同意を要する行為の範囲を、民法第13条第1項に列挙された行為以外にも広げることができます。本人の生活状況や財産状況に応じて、必要な範囲で保護の程度を調整できる仕組みになっているのです。

    具体的な場面で考えると、たとえば保佐開始の審判を受けた方が、自宅を売却しようとする場合、保佐人の同意なしに行った売買契約は、後から取り消すことができます。逆にいえば、保佐人の同意さえ得られれば、本人自身が契約当事者として売買契約を締結すること自体は可能であり、この点は、本人に代わって後見人が契約を締結する後見類型とは大きく異なります

    ● 保佐人ができないこと

    保佐人は、後見人とは異なり、本人の法律行為すべてに関与できるわけではありません。日用品の購入その他日常生活に関する行為については、本人が単独で有効に行うことができ、保佐人の同意は不要です。また、民法13条1項に列挙されていない比較的軽微な法律行為についても、原則として保佐人の同意は不要とされています。

    このほか、婚姻や離婚、養子縁組、遺言の作成といった、本人の意思そのものが重視される一身専属的な行為については、保佐人が同意したり代理したりすることはできません。医療行為への同意についても同様で、保佐人の職務には含まれないと考えられています。

    こうした一身専属的な行為に保佐人が関与できないのは、本人以外の判断で決めてよい性質のものではない、という考え方に基づいています。財産管理や重要な契約行為は本人保護のために制限をかける一方、人生の重要な選択そのものはあくまで本人の意思に委ねる、という制度上のバランスが表れている部分といえます。

    ● 保佐人の代理権

    保佐人は、当然に本人を代理する権限を持つわけではありません。後見人が財産管理全般について当然に代理権を持つのとは異なり、保佐人が特定の法律行為について代理権を持つためには、家庭裁判所に対して別途「代理権付与の審判」の申立てを行い、審判を受ける必要があります。しかも、この審判をするには、本人の同意が必要とされています。これは、保佐が本人にまだ一定の判断能力が残っていることを前提とする制度であり、本人の自己決定権をできる限り尊重する趣旨によるものです。

    代理権付与の審判を受けた場合、保佐人はその審判で定められた範囲内(たとえば「不動産の売却に関する事項」など)でのみ、本人を代理して法律行為を行うことができます。範囲外の行為については、たとえそれが本人にとって有益と思われる場合でも、保佐人が勝手に代理することはできず、必要であればあらためて代理権の追加付与を家庭裁判所に申し立てることになります。

    このように、保佐人の権限は「当然に広い後見人の権限」とは異なり、同意権を基本としつつ、必要な範囲でのみ代理権が積み増されていく、いわば本人の状態に合わせたオーダーメイドの支援という性質を持っています。

    ● 保佐人を選任すべき状況

    保佐人の選任が適切と考えられるのは、本人の判断能力が後見が必要なほどには低下していないものの、重要な財産行為について自分一人で適切な判断をすることが難しい、という状態の場合です。具体的には、日常の買い物や簡単な意思疎通はできるが、不動産の売却や遺産分割協議、まとまった金額の金銭の貸し借りといった場面になると、内容を十分に理解して判断することが困難、といったケースが該当します。中等度の認知症の方などが、この類型にあたることが多くあります。

    実務上は、後見・保佐のどちらに該当するかの判断が微妙なケースも少なくありません。申立ての段階では医師の診断書をもとに見立てを行いますが、最終的には家庭裁判所の判断や、必要に応じて実施される鑑定の結果によって、いずれの類型になるかが確定します。「後見のつもりで申し立てたが、保佐相当と判断された」ということも実際に起こり得るため、申立ての段階から余裕を持ったスケジュールで臨むことが望ましいといえます。

    成年後見人・保佐人・補助人の違い

    ● 本人の判断能力の程度の違い

    法定後見の3類型は、本人の判断能力の程度によって使い分けられます。

    「後見」は判断能力を欠く常況にある方、「保佐」は判断能力が著しく不十分な方、「補助」は判断能力が不十分な方が、それぞれ対象です。この判断は、医師の診断書や、必要に応じて行われる鑑定の結果を踏まえ、最終的には家庭裁判所が総合的に判断します。

    なお、いったんいずれかの類型で審判が確定した後でも、本人の判断能力の状態が変化すれば、類型の変更を家庭裁判所に申し立てることができます。たとえば保佐開始の審判を受けた後に認知症が進行し、判断能力がさらに低下した場合には、後見への移行を申し立てることも可能です。

    ● 基本的な権限の違い

    後見人は、日常生活に関する行為を除くほぼすべての法律行為について、当然に本人を代理する権限と、本人が行った行為を取り消す権限を持ちます

    これに対して保佐人は、民法第13条第1項所定の重要な法律行為について同意権・取消権を持つにとどまり、代理権については別途の審判が必要です。

    補助人はさらに限定的で、家庭裁判所が個別に定めた特定の法律行為についてのみ、同意権または代理権(あるいはその両方)を持つにすぎません

    こうした権限の広狭は、本人の判断能力の程度に対応したものであり、判断能力が低いほど支援者に広い権限が認められ、判断能力が残っている部分が多いほど、支援者の関与は限定的になり本人の自己決定に委ねられる範囲が広くなる、という構造で理解しておくと整理しやすいでしょう。

    ● 同意権・取消権の違い

    後見類型では、本人はそもそも単独で確定的に有効な法律行為をする能力がないという前提に立つため、「同意権」という概念自体が用いられません。本人が行った行為(日用品の購入等を除く)は、後から取り消すことができるという形で保護が図られます。

    保佐類型では、民法第13条第1項に定められた重要な行為について、保佐人の同意が必要とされ、同意のない行為は取り消すことができます。

    補助類型では、家庭裁判所が定めた特定の行為についてのみ同意権が生じ、その付与にも本人の同意が必要とされる点で、保佐よりもさらに本人の意思が尊重される制度設計になっています。

    同意権・取消権の違いを整理すると、後見類型は「本人の行為は原則として取消しの対象になる」という強い保護、保佐類型は「重要な行為に限り同意が必要」という中間的な保護、補助類型は「あらかじめ定めた特定の行為のみ同意が必要」という限定的な保護、というように、段階的に本人の自由な意思決定の範囲が広がっていく構造になっていると理解すると分かりやすいでしょう。

    ● 代理権の違い

    後見人は、財産管理に関する法律行為について、当然に包括的な代理権を持ちます。

    これに対して保佐人・補助人は、当然には代理権を持たず、家庭裁判所への申立てにより、代理権を付与する旨の審判を受けた場合に限り、その範囲内で代理権を持ちます。保佐・補助のいずれについても、この代理権付与の審判には本人の同意が必要とされており、本人の意思を尊重しながら支援の範囲を個別に設計できる仕組みになっています。

    この代理権の違いは、実務上とても重要な意味を持ちます。たとえば保佐人が選任されていても、代理権付与の審判を受けていなければ、保佐人は本人に代わって不動産の売買契約を締結することはできず、あくまで本人が契約当事者となり、保佐人はそれに同意を与える立場にとどまります。将来的にどのような場面で代理が必要になりそうかをあらかじめ想定し、申立ての段階で代理権付与の範囲を検討しておくことが望ましいでしょう。

    保佐人が選ばれるまでの流れ

    ● ステップ1:家庭裁判所への申立て

    保佐開始の申立ては、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。申立てができるのは、本人、配偶者、四親等内の親族、検察官、市区町村長などです。申立ての際には、申立書に加えて、本人の判断能力に関する医師の診断書、戸籍謄本、住民票、本人の生活状況や財産状況が分かる資料(いわゆる本人情報シートなど)を提出する必要があります。

    なお、身寄りがなく親族による申立てが期待できない方については、市区町村長が申立人となることもできます。本人を保護する必要性が高いにもかかわらず申立てをする親族がいない、というケースに対応するための制度で、地域の福祉窓口や地域包括支援センターが関わりながら手続きが進められることもあります。

    ● ステップ2:家庭裁判所による調査

    申立てが受理されると、家庭裁判所の調査官が、本人や申立人、場合によっては親族に対して聞き取りを行い、本人の生活状況や判断能力、保佐人候補者の適格性などについて事実関係を調査します。この調査を通じて、本人にとって本当に保佐が必要な状態にあるか、どのような支援が適切かが確認されます。

    また、この段階で親族に対して、申立ての内容や保佐人候補者について意見を照会する手続き(親族への照会)が行われることもあります。将来の親族間のトラブルを避けるためにも、事前に家族内で申立ての方針を共有しておくことが望ましいでしょう。

    ● ステップ3:鑑定の実施

    保佐開始の審判をするにあたっては、原則として医師による鑑定が行われます。鑑定では、提出された診断書よりもさらに踏み込んで、本人の判断能力の程度が医学的に確認されます。ただし、診断書などから判断能力の程度が明らかであると家庭裁判所が判断した場合には、鑑定が省略されることもあります。

    鑑定には数週間から1か月程度の期間と、別途の鑑定費用がかかるのが一般的です。この鑑定の要否や期間は、申立て全体のスケジュールに大きく影響するため、あらかじめどの程度の期間・費用がかかりそうか、申立て前の相談段階で確認しておくと安心です。

    ● ステップ4:審判と登記

    調査や鑑定の結果を踏まえて、家庭裁判所が保佐開始の審判をし、あわせて保佐人を選任します。必要に応じて、同意を要する行為の範囲の追加や、代理権付与の審判もあわせて行われます。審判が確定すると、法務局において後見登記がされ、これにより保佐人の存在や権限の範囲が公的に証明できるようになります。以降、保佐人は、この登記事項証明書を提示することで、金融機関や取引先との間で本人を代理し、あるいは同意を与える立場にあることを示すことができます。

    保佐人には、親族が選ばれる場合と、司法書士や弁護士などの専門職が選ばれる場合とがあります。財産の内容が複雑であったり、親族間で意見の対立があったりする場合には、家庭裁判所の判断により専門職が保佐人に選任されることも少なくありません。また、親族が保佐人になる場合でも、専門職が併せて選任され、財産管理を分担する形が取られることもあります。

    まとめ

    保佐人は、成年後見制度において判断能力が不十分な方を支援する役割を担っています。その権限は後見人よりも限定的であり、本人が自分で行えることは尊重しつつ、重要な法律行為などには同意権を持つことが特徴です。具体的には、不動産の売買や高額な借入れなどの民法で定められた本人の財産に大きな影響を与える一定の行為についてのみ、同意権が付与されます。

    成年後見人とは異なり、保佐人には原則として代理権はありませんが、家庭裁判所に申し立てることで代理権を付与されることもあります。この代理権の付与の審判には、本人の同意が必要である点も重要です。これにより、本人の自立を尊重しつつ、必要な場面で適切な支援が行われる仕組みとなっています。

    実際の場面では、本人や家族が「保佐相当の診断が下りたが、保佐で足りるのか」「どの範囲で保佐人に代理権を持たせるべきか」に迷うことが多いです。代理権の範囲が広すぎると本人の意思が損なわれるリスクもあるため、申立て時に具体的な生活状況や希望をしっかり伝えることがポイントです。

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