亡くなった方の生命保険、調べる方法は? 生命保険協会への照会方法を解説
2026/10/13
亡くなった家族が生命保険に加入していたかわからず、保険金を請求できないかもしれないと不安に感じていませんか?
生命保険に加入していた場合、死亡保険金などを受け取れる可能性があります。しかし、保険証券が見つからなかったり、保険会社の名前がわからなかったりすると、どこに問い合わせればよいのかわからず、手続きが進まないこともあります。
このような場合に利用できるのが、生命保険協会の「生命保険契約照会制度」です。この制度を利用すると、亡くなった方が契約者または被保険者となっている生命保険契約の有無を、生命保険協会の会員会社にまとめて照会できます。
本記事では、生命保険契約照会制度の概要や利用できる人、必要書類、費用、手続きの流れについて解説します。
目次
亡くなった方の生命保険を調べるには?
● 生命保険に加入していたかわからない場合はどうする?
亡くなった方が生命保険に加入していたかどうかわからない場合、まずは自宅に保険証券や保険会社からの郵便物が残されていないか確認してみましょう。
預金通帳に保険料の引き落とし履歴が残っていたり、クレジットカードの利用明細に保険料の支払いが記録されていたりすることもあります。
しかし、こうした資料が見つからず、保険会社の名前すらわからない場合もあるでしょう。そのようなときに利用できるのが、生命保険協会の「生命保険契約照会制度」です。
この制度を利用すれば、生命保険協会の会員会社に対して、亡くなった方が契約者または被保険者となっている生命保険契約の有無をまとめて照会できます。
保険会社を一社ずつ探して問い合わせる手間を減らせるため、亡くなった方の生命保険を調べる際に役立つ制度です。
● 生命保険協会の「生命保険契約照会制度」とは?
生命保険契約照会制度は、親族などが亡くなった場合や、認知症などによって認知判断能力が低下した場合に、所定の要件のもとで生命保険契約の有無を調べられる制度です。
亡くなった方の生命保険を調べる場合には、生命保険協会が会員会社に照会し、各社からの回答を取りまとめて申請者に知らせます。
たとえば、亡くなった父親が生命保険に加入していた可能性はあるものの、保険会社の名前も契約内容もわからない場合、照会によって契約の存在が判明することがあります。
ただし、生命保険契約照会制度は、保険金の請求手続きそのものを行う制度ではありません。契約が見つかった場合には、該当する生命保険会社に連絡し、契約内容や保険金請求の方法を確認する必要があります。
● 生命保険契約照会制度でわかること・わからないこと
生命保険契約照会制度で確認できるのは、基本的に、亡くなった方が契約者または被保険者となっている生命保険契約の有無です。
また、照会者本人が死亡保険金受取人となっている契約については、その旨も回答されます。
一方で、保険金の受取人や保険金額、保障内容などがすべてわかるわけではありません。照会結果だけで、保険金を請求できるかどうかを最終的に判断することもできません。
契約が見つかった場合には、該当する生命保険会社に連絡し、契約内容や保険金請求に必要な書類などを確認しましょう。
なお、照会の対象となるのは、生命保険協会の会員会社が取り扱う所定の契約です。すべての保険契約を網羅できるとは限らないため、手元にある資料なども併せて確認することが大切です。
生命保険契約照会制度を利用できる人
生命保険契約照会制度は、誰でも自由に利用できるわけではありません。亡くなった方の生命保険を調べる場合、申請できる人は所定の要件を満たす人に限られます。
● 亡くなった方の法定相続人
生命保険契約照会制度を利用できる人の一つが、亡くなった方の法定相続人です。
たとえば、父親が亡くなり、子どもが父親の生命保険契約を調べたい場合、子どもは法定相続人として照会を申し込めます。
ただし、法定相続人であることを確認するための書類などが必要です。戸籍謄本や法定相続情報一覧図の写しなど、相続関係を証明する書類を準備する必要があります。
また、複数の相続人が一緒に照会する場合には、実際に手続きを行う代表者を決めることもできます。
なお、死亡保険金受取人となっているかどうかによって、照会結果の一部が異なる場合があります。そのため、複数の相続人で調査する場合には、誰が照会を申し込むのかを事前に話し合っておくとよいでしょう。
● 遺言執行者や法定代理人など
法定相続人以外にも、所定の要件を満たす遺言執行者や、法定相続人の法定代理人・任意代理人などが照会を申し込める場合があります。
ただし、任意代理人として申請できる人は、生命保険協会の案内上、弁護士・司法書士・行政書士に限られています。家族や知人に委任すれば、誰でも代理人として申請できるわけではありません。
また、遺言執行者が照会する場合には、遺言執行者であることを確認できる遺言書などの書類が必要です。法定代理人が申請する場合にも、代理権を確認するための書類などが必要になります。
自分が照会を申し込める立場に該当するかどうか、どのような書類が必要なのかについては、生命保険協会の公式サイトで確認しましょう。
生命保険契約照会制度を利用する際の注意点
● 照会の対象となる生命保険契約には条件がある
生命保険契約照会制度を利用すれば、すべての生命保険契約を調べられるわけではありません。
照会の対象となるのは、原則として、照会受付日時点で有効に継続している個人保険契約です。ただし、照会対象者が亡くなっている場合には、死亡日まで最低3年間さかのぼって調査が行われます。
なお、死亡保険金の支払いが完了した契約や、解約済み・失効済みの契約などは、原則として対象に含まれません。
また、次のような契約も対象外です。
- 財形保険・財形年金保険
- 年金の支払いが開始している年金保険
- 保険金などが据え置かれている契約
このように、照会制度には対象となる契約の範囲が定められています。照会しても契約が見つからなかった場合には、対象外の契約である可能性も考え、ほかの方法で調査することも検討しましょう。
● 照会結果だけで保険金の受取人や金額がわかるわけではない
生命保険契約照会制度を利用して契約が見つかったとしても、保険金の受取人や保険金額、保障内容などがすべてわかるわけではありません。
また、生命保険協会が保険金の請求手続きを代行してくれるわけでもありません。
照会結果を受け取った後は、該当する生命保険会社に連絡し、契約内容や保険金請求に必要な書類などを確認する必要があります。
なお、保険契約の保険金・給付金に関する権利者以外の人には、契約内容を開示できない場合があります。照会を申し込んだ人が、必ずしも保険金を受け取れるとは限らないため注意しましょう。
● 保険金を請求できる場合は早めに手続きを進める
生命保険契約が見つかり、死亡保険金などを請求できる可能性がある場合には、早めに保険会社へ連絡しましょう。
保険金の請求には、保険金受取人の本人確認書類や、亡くなった方の死亡診断書など、契約内容に応じた書類が必要になることがあります。
また、保険金の請求権には、原則として3年の消滅時効があります。時効期間は、原則として請求権を行使できる時から進行しますが、具体的な起算点は保険金の種類や契約内容などによって異なる場合があります。時効が近い可能性がある場合には、早急に保険会社へ相談することが大切です。
生命保険契約照会制度の利用にも一定の時間がかかる可能性があるため、保険契約の存在が疑われる場合には、できるだけ早く調査を始めましょう。
生命保険契約照会制度を利用する手順
生命保険契約照会制度を利用する場合、Webまたは書面で申請できます。申請方法によって利用料や手続きの進め方が異なるため、それぞれの流れを確認しておきましょう。
● STEP1 申請方法を選ぶ
まずは、生命保険協会の公式サイトから、生命保険契約照会制度の申請方法を確認します。
申請方法には、Web申請と書面申請があります。
Web申請では、公式サイトからマイページを作成し、必要事項の入力や書類の提出などを行います。書面申請では、公式サイトから申請書類の取り寄せを申し込み、届いた書類に必要事項を記入したうえで、必要書類とともに郵送します。
Web申請の方が、書面申請よりも手続きを進めやすい場合があります。利用できる環境があれば、Web申請を検討するとよいでしょう。
なお、申請方法や受付状況は変更されることがあるため、実際に手続きを始める際には、生命保険協会の公式サイトで最新の案内を確認してください。
● STEP2 必要書類を準備する
申請にあたっては、申請者の本人確認書類や、亡くなった方との関係を確認するための書類などが必要です。
法定相続人が申請する場合、一般的には次のような書類を準備します。
- 申請者の本人確認書類
- 法定相続情報一覧図の写し、または相続関係を確認できる戸籍謄本など
- 亡くなった方の死亡を確認できる書類(必要な場合)
- 複数の相続人が照会者となる場合などに必要な所定の書類
本人確認書類としては、運転免許証やマイナンバーカードなどが挙げられます。また、相続関係を確認する書類については、法務局が発行した法定相続情報一覧図の写しを利用できます。
法定相続情報一覧図の写しなど、提出する書類によっては、亡くなった方の死亡を確認する書類を別途提出する必要がない場合もあります。
ただし、必要書類は申請者の立場によって異なります。遺言執行者や代理人が申請する場合には、それぞれの立場を証明する書類などが必要になるため注意しましょう。
また、書類に不足や不備があると、再提出が必要になり、手続きに時間がかかる可能性があります。申請前に、生命保険協会の公式サイトに掲載されている必要書類のチェックシートを確認し、漏れがないように準備することが大切です。
● STEP3 申請内容を入力・記入して必要書類を提出する
必要書類がそろったら、申請手続きを進めます。
Web申請の場合は、公式サイトからマイページを作成し、案内に従って必要事項を入力します。その後、所定の申請書類を提出し、必要書類をアップロードします。
書面申請の場合は、生命保険協会の公式サイトから申請書類の取り寄せを申し込み、届いた書類に必要事項を記入します。必要書類をそろえたうえで、指定された宛先に郵送しましょう。
申請内容に誤りがあると、調査に影響したり、再度申請が必要になったりする可能性があります。亡くなった方の氏名や住所など、必要事項を正確に記入することが大切です。
また、複数の相続人が照会者となる場合には、照会代表者以外の相続人についても、所定の委任状兼同意書などが必要になることがあります。申請者の人数や立場に応じて、必要書類を確認しましょう。
● STEP4 利用料を支払い、照会結果を確認する
生命保険契約照会制度では、所定の利用料を支払う必要があります。
現在の利用料は、調査対象となる人1名につき、Web申請が6,000円(税込)、書面申請が7,000円(税込)です。
Web申請では、マイページから所定の方法で支払います。書面申請の場合も、生命保険協会の案内に従って支払いを行います。
必要書類の提出と利用料の支払いが完了すると、生命保険協会が会員会社に対して調査を行い、その結果が回答されます。
照会結果で生命保険契約の存在が確認された場合には、該当する生命保険会社に問い合わせ、契約内容や保険金請求の方法を確認しましょう。
なお、照会結果が届くまでの期間は、申請方法や書類の不備、受付状況などによって異なります。書面申請については、通常より手続きに時間がかかる場合があると生命保険協会から案内されているため、余裕をもって手続きを進めることが大切です。
● 生命保険契約照会制度の利用料と所要期間
生命保険契約照会制度の利用料は、調査対象となる人1名につき、Web申請が6,000円(税込)、書面申請が7,000円(税込)です。
複数の相続人が同じ亡くなった方について照会する場合でも、調査対象者が1名であれば、基本的にはその1名についての利用料となります。ただし、申請する人の立場や手続きの方法によって、追加で必要な書類などが異なる場合があります。
また、照会結果が届くまでの期間については、申請方法や受付状況などによって異なります。書類に不備がある場合には、再提出が必要となり、回答までに時間がかかることもあります。
特に、相続税の申告や遺産分割などの手続きが控えている場合には、生命保険契約の調査に時間がかかる可能性も考慮し、早めに申請することをおすすめします。
生命保険契約照会制度以外で生命保険を調べる方法
生命保険契約照会制度は便利な制度ですが、対象外となる契約もあります。また、利用料がかかるため、まずはほかの方法で生命保険の手掛かりを探すことも検討しましょう。
● 保険証券や保険会社からの通知物を確認する
亡くなった方の自宅に、生命保険証券や保険会社から届いた書類が残されていないか確認してみましょう。
たとえば、次のような書類が手掛かりになります。
- 生命保険証券
- 契約内容のお知らせ
- 保険料控除証明書
- 保険会社からの郵便物
- 保険金や給付金に関する通知
これらの書類には、保険会社名や証券番号、契約内容などが記載されていることがあります。保険会社がわかれば、直接問い合わせて契約の有無や請求手続きについて確認できます。
● 預金通帳やクレジットカードの明細を確認する
生命保険料は、預金口座からの引き落としやクレジットカード払いで支払われていることがあります。
そのため、預金通帳やクレジットカードの利用明細を確認すると、保険会社や保険契約に関する手掛かりが見つかる場合があります。
ただし、引き落としの名義だけでは、保険会社や契約内容を特定できないこともあります。手掛かりが見つかった場合には、記載されている会社などに問い合わせて確認しましょう。
● 勤務先や金融機関などに確認する
亡くなった方が会社員だった場合、勤務先の福利厚生として団体保険などに加入していた可能性があります。
また、住宅ローンを利用していた場合には、団体信用生命保険に加入していた可能性もあります。団体信用生命保険は、契約内容によっては死亡時に住宅ローンの残高が保険金で返済される仕組みです。
このような保険は、一般的な生命保険とは請求先や手続きが異なる場合があります。勤務先や住宅ローンを利用していた金融機関などに確認するとよいでしょう。
まとめ
亡くなった方が生命保険に加入していたかどうかわからない場合には、生命保険協会の「生命保険契約照会制度」を利用する方法があります。
この制度を利用すると、生命保険協会の会員会社に対して、亡くなった方が契約者または被保険者となっている生命保険契約の有無をまとめて照会できます。
ただし、照会できる人や対象となる契約には条件があり、利用料も必要です。また、照会結果だけで保険金の受取人や金額までわかるわけではないため、契約が見つかった場合には、該当する生命保険会社に連絡して手続きを進める必要があります。
保険証券や保険会社からの通知物、預金通帳なども確認しながら、亡くなった方の生命保険を調べてみましょう。
相続手続きでは、生命保険の調査だけでなく、預貯金や不動産などの財産調査、相続人の確定、遺産分割など、さまざまな手続きが必要になります。相続手続きの進め方に不安がある場合には、司法書士などの専門家への相談も検討してみてください。

