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養子縁組は相続税対策になる?基礎控除の仕組みや注意点を解説

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養子縁組は相続税対策になる?基礎控除の仕組みや注意点を解説

養子縁組は相続税対策になる?基礎控除の仕組みや注意点を解説

2026/10/27

相続税対策の方法の一つとして、養子縁組が検討されることがあります。養子縁組によって法定相続人の数が増えると、相続税の基礎控除額が増えるため、相続税の負担を軽減できる場合があるからです。

ただし、養子縁組をすれば必ず相続税が安くなるわけではありません。相続税の計算で法定相続人として数えられる養子の人数には制限があり、養子縁組によってほかの相続人の相続分が変わることにも注意が必要です。

本記事では、養子縁組によって相続税が変わる仕組みや、相続税の計算で養子を数える際のルール、養子縁組をする前に知っておきたい注意点について、わかりやすく解説します。

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目次

    養子縁組は相続税対策になる?

    ● 養子縁組とは法律上の親子関係を成立させる制度

    養子縁組とは、一定の手続きを行うことで、法律上の親子関係を成立させる制度です。

    養子縁組には、主に「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の2種類があります。

    普通養子縁組では、養親と養子の間に法律上の親子関係が成立しても、原則として実親との親子関係は存続します。一方、特別養子縁組では、原則として実親との法律上の親子関係が終了します。

    相続税対策として検討されるのは、一般的に普通養子縁組です。たとえば、孫や子どもの配偶者などを養子にすることで、養親の相続における法定相続人の数が増える場合があります。

    ただし、養子縁組は単に相続税を減らすための手続きではありません。法律上の親子関係が成立するため、相続だけでなく、扶養義務などにも影響します。制度の仕組みを理解したうえで検討することが大切です。

    ● 養子も実子と同じように相続人になる

    養子縁組が成立すると、養子は養親の法律上の子どもとなり、養親が亡くなったときには、原則として実子と同じように相続人になります。

    たとえば、亡くなった方に配偶者と実子2人がいる場合、通常は配偶者と実子2人が相続人です。ここで、亡くなった方が別の人と普通養子縁組をしていた場合、養子も相続人に加わります。

    このように、養子縁組によって相続人が増えると、相続財産を分ける際の法定相続分にも影響します。

    なお、普通養子縁組では、養子と実親との法律上の親子関係も原則として存続します。そのため、養子は養親だけでなく、実親の相続についても、ほかの要件を満たせば相続人となります。

    ● 養子縁組によって相続税の基礎控除額が増える場合がある

    養子縁組が相続税対策になるといわれる主な理由は、相続税の基礎控除額が増える可能性があるためです。

    相続税の基礎控除額は、次の計算式で求めます。

    3,000万円+600万円×法定相続人の数

    この計算では、法定相続人が1人増えると、基礎控除額が600万円増えます。そのため、養子縁組によって相続税の計算上の法定相続人の数が増えれば、相続税の課税対象となる金額が減り、相続税の負担が軽くなる場合があります。

    ただし、相続税の計算では、法定相続人の数に含められる養子の人数に制限があります。養子縁組を何人と行っても、その人数分だけ基礎控除額が増えるわけではありません(詳しくは後述します)。

    ● 相続税対策だけを目的に養子縁組をすることには注意が必要

    養子縁組によって相続税の負担を軽減できる場合はありますが、節税だけを目的に安易に進めることは避けましょう。

    養子縁組が成立すると、養子は法律上の子どもとなり、相続権を取得します。その結果、ほかの相続人の法定相続分が変わり、遺産分割の話し合いに影響することがあります。

    また、養子の数を法定相続人の数に含めることで相続税の負担を不当に減少させる結果になると認められる場合には、相続税の計算上、その養子を法定相続人の数に含められないことがあります。

    相続税の負担を軽減できるかどうかだけでなく、養子となる人やほかの家族への影響も考慮して、慎重に判断することが大切です。

    養子縁組によって相続税はどう変わる?

    ● 相続税の基礎控除額は法定相続人の数によって決まる

    相続税の基礎控除額は、法定相続人の数によって変わります。

    たとえば、法定相続人が3人であれば、基礎控除額は4,800万円です。一方、法定相続人が4人になると、基礎控除額は5,400万円になります。

    養子縁組によって相続税の計算上の法定相続人が1人増えれば、基礎控除額が600万円増えることになります。

    ※ 基礎控除額は、相続税の課税対象となる金額を計算する際に、遺産の総額から差し引かれる金額です。つまり、「相続税の対象となる遺産総額を600万円分圧縮できる」ということであり、相続税が600万円安くなるというわけではありません。

    ● 養子が増えると生命保険などの非課税限度額も変わる

    法定相続人の数は、相続税の基礎控除額だけでなく、生命保険金や死亡退職金の非課税限度額を計算する際にも関係します。

    相続人が受け取る死亡保険金には、一定の要件を満たす場合、次の非課税限度額が設けられています。

    500万円×法定相続人の数

    死亡退職金についても、相続人が受け取る場合など一定の要件を満たせば、同じ計算式による非課税限度額があります。

    たとえば、相続税の計算上の法定相続人が3人から4人に増えた場合、生命保険金と死亡退職金のそれぞれについて、非課税限度額が500万円増える可能性があります。

    ● 養子縁組によって相続税の総額が変わる場合もある

    養子縁組によって法定相続人の数が増えると、基礎控除額だけでなく、相続税の総額の計算にも影響する場合があります。

    相続税を計算する際には、各人の税額を求める前提として、まず、課税対象となる遺産を法定相続分に応じて各相続人が取得したものと仮定して、相続税の総額を計算します。その総額を、各人が取得した遺産の割合に応じて配分するという仕組みです。

    そして相続税には累進税率が採用されており、法定相続分に応じた取得金額が大きくなるほど、高い税率が適用されます。そのため、養子縁組によって法定相続人の数や法定相続分が変わると、基礎控除額が増えるだけでなく、適用される累進税率が下がり、相続税額が抑えられる可能性もあるのです。

    ただし、養子縁組によって必ず相続税の総額が減るとは限りません。養子が取得する財産の金額や、ほかの相続人の構成などによって結果は異なります。

    ● 養子が増えても必ず相続税が安くなるとは限らない

    養子縁組によって相続税の計算上の法定相続人が増えると、基礎控除額や生命保険金などの非課税限度額が増える場合があります。しかし、必ずしも相続税の負担が軽くなるとは限りません。

    たとえば、養子が増えることでほかの相続人の法定相続分が変わり、財産の分け方について話し合いが必要になることがあります。また、養子が孫である場合には、相続税額の2割加算が適用されるケースもあります。

    相続税対策を検討する際は、基礎控除額の増加だけに注目するのではなく、相続税の総額や各相続人の税負担、遺産分割への影響なども含めて判断しましょう。

    相続税の計算で法定相続人として数えられる養子の人数

    ● 実子がいる場合は養子1人までが原則

    相続税を計算する際、法定相続人の数に含められる養子の人数には制限があります。

    亡くなった方に実子がいる場合、原則として、相続税の計算上、法定相続人の数に含められる養子は1人までです。

    たとえば、配偶者と実子2人がいる方が、普通養子縁組によって1人を養子にした場合、相続税の計算上の法定相続人は、原則として配偶者、実子2人、養子1人の合計4人です。

    養子が2人以上いる場合でも、2人目の養子は基礎控除額を計算する際の法定相続人としてはカウントされず、相続税の基礎控除額は600万円しか増えません。

    ● 実子がいない場合は養子2人までが原則

    亡くなった方に実子がいない場合は、原則として、相続税の計算上、法定相続人の数に含められる養子は2人までです。

    たとえば、配偶者がいる方に実子がおらず、普通養子縁組によって2人を養子にしていた場合、原則として、配偶者と養子2人の合計3人を法定相続人の数に含めます。

    ただし、これは相続税の計算上のルールです。民法上の相続人となるかどうかと、相続税の計算で法定相続人の数に含められるかどうかは、区別して考える必要があります。

    ● 特別養子縁組など一定の場合は取り扱いが異なる

    養子の人数制限には例外があります。

    たとえば、特別養子縁組による養子や、亡くなった方の配偶者の実子であった養子など、一定の人は相続税の計算上、実子として取り扱われます。

    また、実子や養子などがすでに亡くなっていることなどにより、その人に代わって直系卑属が相続人となる場合にも、一定の要件の下で実子として取り扱われることがあります。

    そのため、養子がいる場合には、単純に実子と養子の人数を数えるだけでは正確に判断できないことがあります。家族関係や養子縁組の種類などを確認したうえで、相続税の計算上の法定相続人の数を判断することが大切です。

    ● 相続税対策として認められない養子縁組に注意する

    養子縁組によって法定相続人の数が増えれば、相続税の基礎控除額などが増える場合があります。しかし、養子の数を法定相続人の数に含めることで相続税の負担を不当に減少させる結果になると認められる場合には、その原因となる養子を法定相続人の数に含められないことがあります。

    このように、養子縁組をすれば、どのような場合でも相続税の計算上のメリットを受けられるわけではありません。

    養子縁組の目的や経緯、家族の状況などによって判断が必要になるため、相続税対策として養子縁組を検討する場合は、事前に税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

    養子縁組をする際に知っておきたい注意点

    ● 養子にも相続権が生じる

    養子縁組をする際に、まず理解しておきたいのが、養子にも相続権が生じることです。

    養子は法律上の子どもとなるため、養親が亡くなった場合、原則として実子と同じように相続人になります。そのため、養子縁組によって相続人が増えると、遺産分割の対象となる相続人の範囲が変わります。

    また、普通養子縁組の場合、養子と実親との法律上の親子関係も原則として存続します。養子は、養親と実親の双方の相続について、相続人となる可能性があります。

    養子縁組は相続税の計算だけに影響するものではないため、法律上の親子関係が生じることを十分に理解しておきましょう。

    ● ほかの相続人の相続分が変わる場合がある

    養子縁組によって相続人が増えると、ほかの相続人の法定相続分が変わる場合があります。

    たとえば、配偶者と実子2人が相続人となる場合、法定相続分は配偶者が2分の1、子ども全体で2分の1です。子どもが2人であれば、原則として、それぞれ4分の1ずつとなります。

    ここで養子が1人加わり、子どもが合計3人になると、法定相続分は配偶者が2分の1、子ども全体で2分の1となり、子ども1人あたりの法定相続分は原則として6分の1になります。

    このように、養子縁組によって、実子が受け取る財産の割合が変わる可能性があります。

    なお、法定相続分は、遺産分割の話し合いがまとまらない場合などに基準となる割合です。相続人全員が合意すれば、法定相続分とは異なる割合で遺産を分けることもできます。

    ● 相続人同士のトラブルにつながる可能性がある

    養子縁組は、相続人同士の関係にも影響する可能性があります。

    たとえば、親が相続税対策として孫を養子にした場合、実子から見ると、自分の相続分が減ることになります。養子縁組について十分な説明がなければ、不公平感や不信感が生じ、相続後の話し合いが難しくなることも考えられます。

    また、養子縁組によって相続人が増えると、遺産分割協議で合意を得る相手も増えることになります。相続人の間で意見が対立すると、手続きが長引く可能性もあります。

    こうしたトラブルを防ぐためにも、養子縁組を検討する際は、相続税の負担だけでなく、家族全体への影響を考慮することが大切です。

    ● 養子縁組を解消するには法律上の手続きが必要

    養子縁組をした後に、やはり解消したいと考えることもあるかもしれません。しかし、養子縁組は、単に気が変わったという理由だけで自由に取り消せるものではありません。

    普通養子縁組を解消するには、原則として、養親と養子の合意による協議離縁の届出など、法律上の手続きが必要です。合意できない場合には、一定の要件の下で家庭裁判所での手続きが必要になることもあります。

    また、養子縁組を解消したとしても、すでに生じた相続などの法律関係がすべて元に戻るとは限りません。

    養子縁組は、相続税対策だけを目的に簡単に行ったり、後から自由に取り消したりできるものではないため、縁組をする前に十分に検討しましょう。

    養子縁組による相続税対策を検討する際のポイント

    ● 養子縁組をする前に相続税額を試算する

    養子縁組による相続税対策を検討する場合は、実際にどの程度の節税効果があるのか、事前に試算することが大切です。

    相続税の基礎控除額が増えたとしても、相続税の総額や各相続人の税負担がどのように変わるかは、財産の金額や相続人の構成などによって異なります。

    また、生命保険金や死亡退職金の非課税限度額、孫を養子にした場合の相続税額の2割加算なども考慮する必要があります。

    養子縁組をする前に、現在の家族構成を前提とした相続税額と、養子縁組をした場合の相続税額を比較し、実際の効果を確認しておきましょう。

    ● 相続税以外の影響も確認する

    養子縁組を検討する際は、相続税以外の影響についても確認する必要があります。

    養子縁組によって法律上の親子関係が成立すると、相続権だけでなく、扶養義務などにも影響します。また、養子縁組によってほかの相続人の法定相続分が変わる場合もあります。

    さらに、養子縁組の種類によって、実親との法律上の親子関係が存続するかどうかも異なります。

    相続税の負担を軽減できるかどうかだけでなく、養子となる人や実子など、家族全体への影響を確認したうえで判断することが大切です。

    ● 家族の理解を得たうえで慎重に検討する

    養子縁組による相続税対策を検討する際は、家族の理解を得ることも重要です。

    養子縁組によって相続人の範囲や法定相続分が変わると、将来の遺産分割に影響することがあります。特に、実子がいる場合には、養子縁組によって自分の相続分が変わる可能性があるため、家族間で認識を共有しておくことが望ましいでしょう。

    ただし、家族の理解が得られたとしても、相続税の計算上、必ず養子が法定相続人の数に含められるとは限りません。税務上の要件も確認する必要があります。

    相続税の負担だけを優先するのではなく、養子縁組の目的や家族の将来も考慮して、慎重に検討しましょう。

    ● 税理士や司法書士などの専門家に相談する

    養子縁組による相続税対策を検討する場合は、専門家に相談することもおすすめします。

    相続税の試算や養子縁組による税務上の影響については、税理士に相談するとよいでしょう。また、養子縁組の手続きや、遺言書の作成、相続登記などについては、内容に応じて司法書士などの専門家に相談できます。

    養子縁組は、法律上の親子関係や相続人の範囲を変える手続きです。相続税の負担を軽減できるかどうかだけでなく、将来の相続手続きや家族関係への影響も含めて検討することが大切です。

    まとめ

    養子縁組によって相続税の計算上の法定相続人が増えると、相続税の基礎控除額や生命保険金などの非課税限度額が増え、相続税の負担を軽減できる場合があります。

    ただし、相続税の計算で法定相続人の数に含められる養子の人数には制限があり、養子縁組によって必ず相続税が安くなるわけではありません。また、養子にも相続権が生じるため、ほかの相続人の相続分や家族関係に影響する可能性があります。

    養子縁組を相続税対策として検討する際は、税額を事前に試算し、相続税以外の影響も確認したうえで慎重に判断しましょう。必要に応じて税理士や司法書士などの専門家に相談し、自分や家族の状況に合った方法を検討することが大切です。

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