ひろはた司法書士事務所

相続税の未成年者控除と障害者控除を正しく理解するために

お問い合わせはこちら 無料相談ご予約はこちら

相続税の未成年者控除と障害者控除を正しく理解するために

相続税の未成年者控除と障害者控除を正しく理解するために

2026/09/08

相続税には、基礎控除のほかにも、相続人の事情に応じてさらに税額を軽減できるさまざまな控除が用意されています。なかでも、相続人が未成年者や障害者である場合に使える「未成年者控除」「障害者控除」は、該当する方にとって税負担を大きく左右する重要な制度です。

こうした控除は、基礎控除のように相続税の申告そのものが不要になるほど大きな影響を与えるものではありませんが、対象となる相続人がいる場合には、税額を数十万円から数百万円単位で軽減できる可能性があり、場合によっては相続税の納付額がゼロになることも。制度の存在を知らずに申告してしまうと、本来受けられたはずの控除を逃してしまうことにもなりかねません。

本記事では、相続税に用意されている控除の全体像を整理したうえで、未成年者控除と障害者控除の内容、対象者、計算方法、適用方法、そしてよくある疑問について解説します。

ひろはた司法書士事務所

ひろはた司法書士事務所

大阪市にある司法書士事務所です。
遺産整理、遺言、生前贈与、家族信託など、相続と生前対策に関するお手続きに幅広く対応しております。
お客様一人ひとりの状況に合わせて柔軟にサポートし、幅広いお悩みに向き合いますので、お気軽にご相談ください。

〒541-0051
大阪府大阪市中央区備後町3丁目1−2 NIPPOアトラスビル5階D

0120-028-272

対応時間 平日9:00~18:00

目次

    相続税には様々な控除が

    ● 相続税の基本

    相続税とは、亡くなった方(被相続人)の財産を相続や遺贈によって取得した人に対して課される税金です。財産を取得した人ごとに、取得した財産の額に応じて税額が計算されます。課税対象となるのは、現金や預貯金、不動産、有価証券といった被相続人が所有していた財産のほか、生命保険金や死亡退職金など、被相続人の死亡を原因として支払われる「みなし相続財産」も含まれます。一方で、被相続人が生前に有していた借金などのマイナスの財産は、プラスの財産から差し引くことができます。

    相続税がかかる場合、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に、申告と納税を行う必要があります。この記事で取り上げる未成年者控除・障害者控除も、この申告期限内に、申告書に必要事項を記載して適用を受ける必要があります。

    ● 相続税の控除とは

    相続税には、遺産の総額から差し引く「非課税枠」としての控除と、算出された税額そのものから差し引く「税額控除」の、大きく2種類の仕組みがあります。

    未成年者控除・障害者控除は、後者の税額控除にあたり、一定の要件を満たす相続人の相続税額を直接軽減する効果があります。税額控除は、非課税枠とは異なり、いったん計算された税額そのものから差し引かれるため、該当する相続人にとって直接的で分かりやすい軽減効果があります。

    控除には、この記事で取り上げる未成年者控除・障害者控除のほかにも、複数の種類があり、それぞれ適用できる要件や効果が異なります。

    ● 基礎控除

    相続税の基礎控除は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算され、遺産総額がこの金額以下であれば、相続税自体が課税されません。

    これはすべての相続で共通して適用される、最も基本的な非課税枠です。法定相続人の数が多いほど基礎控除額も大きくなるため、養子縁組の有無など、法定相続人の数え方によって基礎控除額が変わる場合がある点にも注意が必要です。

    ● 配偶者の税額軽減

    そのほかの代表的な控除として、配偶者の税額軽減が挙げられます。

    これは被相続人の配偶者が財産を取得した場合に、配偶者の法定相続分または1億6,000万円のいずれか多い金額まで相続税がかからないという制度です。配偶者が取得した財産については、相続税の負担が大幅に軽減される仕組みです。

    ただし、この制度の適用を受けるためにも、原則として相続税の申告期限内に遺産分割を終え、申告書を提出する必要があります。

    ● その他の税額控除

    このほかにも、相続人が未成年者や障害者である場合の控除、短期間に相続が続いた場合の相次相続控除、外国で相続税に相当する税を納めた場合の外国税額控除など、状況に応じたさまざまな税額控除が用意されています。

    これらの控除は、それぞれ独立した制度であるため、要件を満たせば複数の控除を重ねて適用できる場合もあります。この記事では、この中でも特に未成年者控除と障害者控除について詳しく解説します。

    相続税の未成年者控除とは

    ● 概要

    未成年者控除とは、相続や遺贈によって財産を取得した相続人が未成年者である場合に、その相続人の相続税額から一定額を控除できる制度です。

    令和4年4月の民法改正により成年年齢が18歳に引き下げられたことに伴い、現在は18歳未満の相続人が対象となっています。未成年の相続人は、成人した相続人に比べて、これから成人するまでの養育費や教育費といった将来の負担を抱えていることが多いため、その負担を考慮して税額が軽減される仕組みになっています。

    ● 対象者

    未成年者控除の適用を受けるには、相続や遺贈によって財産を取得した際に、以下の要件を満たしている必要があります。

    1. 法定相続人であること
    2. 日本国内に住所があること(一定の例外を除く)
    3. 財産取得時に18歳未満であること

    法定相続人でない孫(代襲相続人でない場合)は、原則として対象になりません。

    なお、代襲相続人となった孫が未成年者である場合には、法定相続人としての要件を満たすため、未成年者控除の対象になります。孫が財産を取得する場面では、代襲相続人としての立場にあるかどうかによって、控除の適用可否が変わってくる点にも注意しておきましょう。

    ● 計算方法

    未成年者控除の額は、「(18歳-相続開始時の年齢)×10万円」で計算されます。年齢に1年未満の端数がある場合は、切り捨てて計算します。

    たとえば、相続開始時に15歳3か月であった場合、18歳までの年数は3年未満ですが、端数を切り捨てて3年として計算し、控除額は(18-15)×10万円=30万円となります。年齢が幼いほど、18歳までの年数が長くなるため、控除額も大きくなる仕組みです。

    ● 適用方法

    未成年者控除は、相続税の申告書(第6表)に必要事項を記載することで適用を受けられます。あわせて、対象者の年齢を確認できる戸籍謄本などが必要になりますが、通常は相続税の申告に必要な戸籍謄本を援用できるため、この控除のためだけに別途新たな書類を取り寄せる必要は基本的にありません。

    控除額がその未成年者本人の相続税額を上回り、控除しきれない金額が生じた場合には、その未成年者の扶養義務者(親など)の相続税額から、控除しきれなかった分を差し引くことができます。

    相続税の障害者控除とは

    ● 概要

    障害者控除とは、相続や遺贈によって財産を取得した相続人が障害者である場合に、その相続人の相続税額から一定額を控除できる制度です。

    障害の程度に応じて、控除額の計算方法が異なります。障害のある相続人は、その後の生活において継続的な支援や介護を必要とすることが多いため、こうした事情を踏まえて税負担が軽減される仕組みになっています。

    ● 対象者

    障害者控除の適用を受けるには、以下の要件を満たしている必要があります。

    1. 法定相続人であること
    2. 日本国内に住所があること(一定の例外を除く)
    3. 財産取得時に85歳未満であること
    4. 障害者に該当すること

    障害者は、その程度に応じて「一般障害者」と、より重い障害の状態にある「特別障害者」に区分されます。

    ● 計算方法

    一般障害者の場合、控除額は「(85歳-相続開始時の年齢)×10万円」で計算されます。

    特別障害者の場合は、この金額が2倍の「(85歳-相続開始時の年齢)×20万円」となります。

    未成年者控除と同様、年齢の端数は切り捨てて計算します。相続開始時の年齢が若いほど、85歳までの年数が長くなるため、控除額も大きくなります。

    ● 適用方法

    障害者控除も、相続税の申告書(第6表)に必要事項を記載し、障害の状態を証明する書類をあわせて提出することで適用を受けられます。具体的には、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳など、お持ちの障害者手帳の写しが基本となります。手帳の交付を受けていない場合でも、一定の要件を満たし、医師の診断書などによって障害の程度を確認できる場合には、控除の対象となることがあります。

    控除しきれない金額が生じた場合には、未成年者控除と同様に、その障害者の扶養義務者の相続税額から差し引くことができます。

    未成年者控除と障害者控除のよくある疑問

    ● 未成年者控除と障害者控除は両方使える?

    相続人が未成年者であり、かつ障害者にも該当する場合には、未成年者控除と障害者控除の両方の要件を満たしていれば、重複して適用を受けることができます。それぞれの控除額を計算したうえで、合算した金額を相続税額から差し引くことが可能です。両方の制度を正しく理解し、適用漏れのないようにすることが大切です。

    たとえば、相続開始時に10歳で、かつ特別障害者に該当する相続人がいる場合、未成年者控除として(18歳-10歳)×10万円=80万円、障害者控除として(85歳-10歳)×20万円=1,500万円が、それぞれ計算され、合計1,580万円を相続税額から控除できることになります。控除額がまとまった金額になることも多いため、該当する可能性がある場合には、忘れずに確認しておきたいところです。

    ● 相続放棄をした場合でも使える?

    相続放棄をした人は、初めから相続人でなかったものとみなされるため、未成年者控除・障害者控除の対象となる「法定相続人」には該当しなくなります。

    しかし、相続放棄をした場合でも、税務上は、相続放棄がなかったものとした場合の相続人に該当するかどうかによって、未成年者控除・障害者控除の適用を判断します。そのため、相続放棄をしたことだけを理由として、これらの控除が一律に受けられなくなるわけではありません。

    相続放棄をした未成年者・障害者が遺贈によって財産を取得した場合でも、他の要件を満たせば未成年者控除・障害者控除の対象となり得ます。

    ● 控除額が相続税額より大きい場合はどうなる?

    未成年者控除や障害者控除の額が、その本人の相続税額を上回ることは珍しくありません。この場合、控除しきれなかった残りの金額は、その未成年者・障害者を扶養している扶養義務者の相続税額から差し引くことができます。本人の税負担だけでなく、家族全体の税負担を軽減できる可能性がある制度である点も、あわせて押さえておきたいポイントです。

    たとえば、未成年の子ども自身が取得した財産が少なく、相続税額そのものが控除額より小さいというケースでは、余った控除額をそのまま無駄にするのではなく、親などの扶養義務者の相続税額から差し引くことで、家族全体としての税負担を抑えることができます。申告の際には、誰がどれだけ控除の適用を受けられるのか、家族間で情報を共有しながら進めることが大切です。

    ※ 過去の相続で未成年者控除・障害者控除を受けている場合には、今回の控除額が制限されることがあります。

    まとめ

    未成年者控除と障害者控除は、相続人の年齢や障害の状態に応じて、相続税の負担を軽減できる重要な制度です。それぞれ対象者の要件や計算方法が異なり、注意すべき点も少なくありません。控除しきれない金額を扶養義務者の税額から差し引ける仕組みも含めて、正しく理解しておくことで、家族全体の税負担を適切に抑えることができます。

    これらの控除は、申告書に必要事項を記載し忘れると適用を受けられないなど、手続き面でも注意が必要な制度です。相続税の申告そのものに慣れていない方にとっては、どの書類に何を記載すればよいのか、判断に迷う場面も多いはずです。特に、控除額が本人の税額を上回るケースでは、扶養義務者の申告内容にも影響が及ぶため、家族全体で連携しながら申告を進める必要があります。

    「相続人に未成年の子どもや障害のある家族がいるが、控除の内容がよく分からない」という方は、税理士等の専門家や、税務署へご相談ください。

    ひろはた司法書士事務所

    ひろはた司法書士事務所

    大阪市にある司法書士事務所です。
    遺産整理、遺言、生前贈与、家族信託など、相続と生前対策に関するお手続きに幅広く対応しております。
    お客様一人ひとりの状況に合わせて柔軟にサポートし、幅広いお悩みに向き合いますので、お気軽にご相談ください。

    〒541-0051
    大阪府大阪市中央区備後町3丁目1−2 NIPPOアトラスビル5階D

    0120-028-272

    対応時間 平日9:00~18:00

    当店でご利用いただける電子決済のご案内

    下記よりお選びいただけます。